Edgard Varèse
エドガー・ヴァレーズ
略歴
エドガー・ヴァレーズは1883年、フランスのパリに生まれた。初期には数学や自然科学を学び、指揮法を習得して作曲活動を始めたが、初期作品のほとんどは失われた。1915年のアメリカ合衆国への移住と1919年のアメリカ帰化は彼の活動の大きな転機となり、現代アメリカ音楽の探求に没頭した。1921年にはカルロス・サルセードと共に国際作曲家組合を設立し、ヨーロッパの現代音楽をアメリカに紹介する役割も担った。しかし、その革新的な音楽は当時の周囲に理解されず、貧困に苦しんだ。電子的な音響制作の可能性を夢見ていたが実現せず、長い作曲活動の空白期間があった。晩年になってようやく「現代音楽の予言者」としてその功績が称賛された。 ヴァレーズは前衛音楽の先駆者として、従来の音楽概念を超えた「組織された音響」という考え方を重視した。彼の音楽には伝統的なクラシック音楽の構成や展開は見られず、「運動・エネルギー・速度」の美学を追求した。多数の打楽器やサイレン、電子楽器を積極的に用いることで、それまでの音楽とは一線を画した斬新な音響空間を創出した。打楽器を単なる効果音ではなく、作品の構造を支える重要な要素として扱い、騒音を組織化し、静的でありながら秩序に従った統一体として提示した。その作風は硬質で求心力のある音響を持ち、フランク・ザッパなどのポピュラー音楽の世界にも影響を与えた。 代表作の一つである管弦楽曲『アメリカ』(1918-21年、1927年改訂)は、アメリカ移住後に書かれた大規模な作品で、多数の打楽器とサイレンが用いられ、新世界を象徴した。史上初の打楽器のみで書かれた作品とされる『イオニザシオン』(1930-33年)は、13人の奏者による打楽器の音色自体が音楽の最重要要素となり得ることを示した。ブリュッセル万博のために委嘱された電子音楽作品『ポエム・エレクトロニク』(1958年)は、ヴァレーズが最先端の機材を得て電子音響制作の可能性を追求した集大成である。これらの作品を通じて、彼は音響そのものの可能性を広げ、後世の音楽に多大な影響を与えた。
収録楽曲
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